映画「火の山のマリア」公式サイト » INTRODUCTION

INTRODUCTION

ベルリンが驚嘆した新人監督による渾身のデビュー作
グアテマラ史上初の米アカデミー賞へのエントリーを果たした傑作!

南米作品が豊作だった2015年ベルリン国際映画祭で新たな才能が誕生した。初長編『火の山のマリア』が銀熊賞(アルフレッド・バウアー賞)に輝いたグアテマラ出身のハイロ・ブスタマンテ監督である。その世界的評価を受けて、『火の山のマリア』はグアテマラ史上初の米国アカデミー賞外国語映画賞へのエントリーを果たした。

監督が題材として選んだのは、自身が幼少期を過ごしたマヤ文明の地で力強く生きる先住民たち。現地の人々を役者として起用し、グアテマラが抱える社会問題を取り入れながら、ドキュメンタリーのような臨場感を持つ力強い母娘の物語を作り上げた。

グアテマラの神秘的な自然、太古から継承してきた伝統・文化と
現代文明の狭間に生きる、先住民たちの現実

映画の舞台は古代マヤ文明の繁栄したグアテマラの高地である。火山付近の肥沃な土壌で農業を営み、土地の神への感謝と畏怖を忘れない先住民たちは、昔ながらの習慣や伝統を守りながら慎ましく生きている。だが、その若い世代はアメリカ文化への憧れを持ち合わせ、昔ながらの生活にも近代化の影響が見え隠れする。

そしてスペイン語を理解できない主人公一家は充分な福祉を受けることもできず、ある事件へと巻き込まれていく。そこには、監督が実際に取材して知り得た事実が盛り込まれ、矛盾を孕むグアテマラの今が浮き上がってくる。

グアテマラという国について

火山、地震、温泉――
日本と似た風土を持つグアテマラ

南米メキシコの南に位置し、国土面積は北海道と四国を合わせた広さより少し大きい108,889㎢。日本と同じ火山国で、地震も多く、温泉もある。気候は暑くも寒くもなく、一年中過ごしやすいため「常春の国」と呼ばれる。

人口は約1547万人(2013年)。そのうち46%を本作の主人公でもあるマヤ系先住民が占めているが、社会の末端に追いやられ、教育や保健医療といった基本サービスの利用も制限され、貧困率は80%にも上る。

また、国民の約1割(150万人以上)が米国に移住し、海外送金が貧困地域の家計を支える。日本とは伝統的に友好関係を築き、2015年には外交関係樹立80周年を迎えた。